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03 May

死神の悪夢【複数人用アレンジ】 その1

 オリジナルCoCシナリオ『死神の悪夢』の複数人用アレンジ版です。
 大切な人を用意するのが面倒な方はこちらがおすすめです。ご自由にプレイしてください。
 読みやすく章毎に分割したものはPixivにあります。そちらもどうぞ。
一人用はこちらからどうぞ


死神の悪夢 複数人用アレンジ シナリオ制作者:野乃小町(ののこまち)

推奨人数 1人~4人
所要時間 不明
難易度  易    KP難易度 普通   ロスト率 普通
舞台   現代日本・クローズド
推奨技能 目星、図書館
     水泳もあるといいかもしれない
その他  一人用シナリオ『死神の悪夢』の大切な人がいないバージョンです。
     複数ルートあり。マルチエンディング。
     SANチェックは少なめ。


1. 概要
 貴方は気がつくと見覚えのない駅のホームにいる。右手には上り電車、左手には下り電車が走る謎の駅。
 上りか、下りか、はたまた別の道か。死神の悪夢が誘う終点は、果たしてどこにあるのだろうか。






2. シナリオの背景
 事故に巻き込まれた探索者達は、死後の世界で最期の審判を受けることになる。
 舞台となる死神の悪夢は、本来死神が審判を下したり、死者と生者の橋渡しをする場所である。死者に会いに来た生者には喪服を、記憶をまっさらにし転生させる天国行きの魂には白装束を、アンデットにし永遠の責め苦を与える地獄行きの魂には黒いローブを与えたうえで、温情深い青いローブの死神は彼ら自身に最後の選択をさせている。
 しかし今ではグラーキが半分占拠し夢引きに使用している。地獄行きの魂を自らの従者にし、死神のふりをさせてさらなる犠牲者を呼び込んでいるのだ。
 天に上るか、人ならざるものへと成り下がるか。はたまた奇跡の生還を果たすか。全ては探索者の行動次第である。



3. 導入
 探索者達は気がつくと、見覚えのない駅のホームにいる。ホームは寂れた風情をしているのに人で溢れている。右手に上り方面、左手に下り方面の線路が一つずつあり、どちらの線路にも古びた電車が止まっている。正面には二つの電光掲示板があり、その奥には掲示板と、上へ繋がるエスカレーターが見える。また、背後には服屋があるようだ。
 自分の体を見下ろせば、普段通りの服を着ているが、何も持っていないことに気がつくだろう。
 探索者達が周囲を見渡しているうちに、発車音が鳴り響き、上りの電車も下りの電車も同時に発車してしまう。人がまばらになったホームで、探索者達はこの不思議な空間について調べるため、辺りの捜索を開始するだろう。



4. 駅のホーム
 ホームには様々な人がいる。スーツを着た壮年の男性や、学生服をきっちり着た女の子、大柄な体格の外国人、見た目よりも元気に動く老人など、性別、人種、年齢、姿恰好に一貫性はない。
 ただし、ホームには駅員の姿はない。
 ホーム上には自動販売機もゴミ箱もないが、エスカレーターと電光掲示板の間に大きな掲示板がある。

 ホームの人々に話しかけても、彼らが持っている情報は、ここは死神の悪夢であること、死神の悪夢と知った場所は掲示板であること、駅員か服屋か売店で道を聞けること程度である。
 ただし、駅員から道を聞いた者は、駅員が図書館にいることを知っているし、売店で道を聞いた者は、売店で物を買えなかったことを教えてくれる。

 駅のホームにあるエスカレーターは長く、上へ上るものと上から下りるものの二つ並んでいる。
 下から上を覗けば、エスカレーターの先は改札口のようになっている。

 ホームの屋根には電光掲示板が二つ下がっており、それぞれの停車駅、次に発車する3本の出発時間が交互に表示されていく。
 電光掲示板の間には時計があり、現在時刻を表示している。他の時計や携帯電話等で時刻を確認してもズレはない。
 出発時間はどちらも30分間隔であり、同時に出発することが書かれている。
 停車駅名は、上りは家族、居場所、知識など一貫性のない言葉が、下りはAPP、DEX、STR、HPなど、変わった英字の文字列が順番に表示されていく。
 一覧で全て書かれているものが見たければ、ホームの中央にある掲示板を見ればよい。


 掲示板には、「死神の悪夢」と大きく書かれており、その下に停車駅一覧、そして案内文がある。

 停車駅一覧は、このようになっている。
「POW ← HP ← INT ← STR ← DEX ← APP ←下り― 死神の悪夢 ―上り→ 家族 → 居場所 → 知識 → 感情 → 自分 → 花園」
 これを見た探索者はこの駅の名称が死神の悪夢だと分かるだろう。
 この変わった駅にどうしているのか思い出そうとした場合、探索者はここに来る直前の記憶が曖昧になっていることに気がつく。
 <アイデアロール>か<知識>に成功した探索者は、下りの駅名は何らかの英単語の省略形なのではないかと思う。
 出目が目標値の半分以下の場合、それぞれ「外見(Appearance)」、「器用さ(Dexterity)」「力、肉体に備わった力(Strength)」「知性(Intelligence)」「耐久力(Hit Point)」「力、能力、精神的な力(Power)」ではないかと思いつく。(PLはすぐに気がつくと思いますが、PC視点で気づかせるためです。)

 案内文は以下の通りである。
「ようこそ 最期の審判へ

 白い貴方は 白の上り電車へ
 黒い貴方は 黒の下り電車へ

 死者に会いにいらっしゃった方は
 まずは図書館までお越しください」
 <アイデアロール>に成功すると、ここは死後の世界だと直感する。自分の死を悟った探索者達は 0/1d6 のSANチェック。


 電車は時刻表の通り、30分毎に発車している。出発してから次の電車が来るまで10分ほどかかる。
 どこの駅でも上り電車と下り電車は同時に到着し、出発する。
 なお、次の駅に着くまでには5分ほどかかり、他の駅では10分ほど停車している。上り電車、下り電車はそれぞれ6編成ずつ動いているわけである。
 左右の電車について詳しい情報は、 7. 上り電車  8. 下り電車 に書いてある。
 上り方面、下り方面共に、反対方面の電車に乗れば、先の駅から引き返してくることが可能である。

 線路はごくごく一般的な、玉砂利を敷き詰めた上にレールを走らせた線路である。
 左側の線路の向こうには壁、右側は丘で彼岸花が群生しているが、その先はよく見ることが出来ない。空は茜色で、雲が走っている。
 ただし、線路に身を乗りだそうとすると、透明な壁があるかのように阻まれてしまう。この壁に向かって物を投擲した場合、投げられた物をはじき返す。
 線路をよく見た場合、<POW×5ロール>をする。成功した場合、レールの下にあった玉砂利は跡形もなく消え、上り方面の線路の下には川が、下り方面の線路の下には炎が見える。



5. 検索
 これは夢なので、強く念じればどこかにその物が出てくる。また、携帯電話の電波は通っているし、ネットにも接続できる。

 ネットで「死神の悪夢」とだけ検索した者は、同名の戯曲があることを知る。
 駅員に聞けば、駅に併設された図書館から戯曲『死神の悪夢』を持って来てくれるだろう。

 「都市伝説」とだけ検索した場合、最近話題の都市伝説が出てくる。その中でも特に目を引いたのは、動くミイラの都市伝説である。要約すると以下の通りである。
「世界各地で動くミイラが目撃されている。
 動くミイラは、まるでミイラのように干からびた屍の姿をしているが、何と生きた人間のように歩き回るらしい。知能があり言葉を発することもできるが、足は遅く手先は不器用である。
 生きた人間が徐々にやせ衰えていき、一、二ヶ月ほどで動くミイラになるという。
 朝起きたら隣に寝ていた人が動くミイラになり、失踪した例もある。」

 下りの停車駅名を3つ以上列挙して検索したり、「死神の悪夢」「都市伝説」の2ワードで検索した場合、「死神の悪夢」という都市伝説があることを知る。以下の内容である。
「死神の悪夢は、死の間際に死神が見せる夢である。
 夢を見た人次第で、天国に行くことも地獄に行くことも、生き永らえることもできるという。
 無事に生き返りたければ、電車に乗ってはいけない。上り電車に乗って親を忘れた人がいる。下り電車に乗ると、徐々に体が衰えていく。
 上り電車の終点に行くと昇天し、下り電車の終点に行くと地獄に落ちるという話もある。
 生き返るには、黒いローブを着て死神に紛れ込み、湖に行くべし。湖から元の世界に戻れる。
 死者に会いに来た生者のフリをして生還した者もいる。」
 これを見た探索者は<アイデアロール>をする。成功した探索者は事故に巻き込まれたことを思い出す。探索者は、何とかしなければ自分達は死んでしまうことを確信するだろう。

 なお「死神の悪夢」や「都市伝説」といった1ワードのみ検索した場合でも、<図書館ロール>に成功すれば死神の悪夢の都市伝説の情報も知ることができる。



6. 探索者が進むルート
 探索できる場所は多いが、探索者のとれる道は大きく分けて以下の通りである。
  (1) 上り電車ルート
   上り電車で終電まで行く
  (2) 下り電車ルート
   下り電車で終電まで行く
  (3) 生者ルート
   生者のフリをし現世へ帰る
  (4) 湖ルート
   死者の湖から脱出する
  (5) 死神ルート
   死神を助けグラーキを追い返す
 うち生還ルートは(3)、(4)、(5)である。
 ただし、湖に行くためには(2)か(3)のルートから分岐しなくてはならない。
 また、飲食をした場合、生還するには(4)か(5)の方法しかなくなる。



7. 上り電車
 右手の電車には白色のラインが入っており、「次は 家族」と表示されている。
 電車の座席には様々な人が座っているが、左手の電車よりも老人が多い。

 車両を一つ一つ見ていったり、<目星ロール>に成功すると、扉が開いていない車両を見つける。
 扉が開いていない車両を窓から覗くと、中にはゆりかごが沢山ある。ゆりかごの中には赤ん坊が眠っており、傍に母親らしき女性が座っているゆりかごもある。
 ここは死産や流産だった赤ん坊と母親専用の車両である。中からも外からも他の車両からも扉を開けることはできない。

 こちらの電車は天国行きである。
 発車して駅につくまでの間に、駅名に関することを忘れていく。
 そして自分のことも忘れまっさらな状態で最後の花園に着くと、そこで転生の時を待つことになる。

 停車駅は 家族 → 居場所 → 知識 → 感情 → 自分 → 花園 である。
 忘れた記憶を教えてもらったとしても、先の駅に進むと再び記憶がなくなる。
 家族駅では、一緒に暮らしている人々や親兄弟、祖父母や子孫だけでなく、親族や自分の家系についての記憶もなくなる。
 居場所駅では、仕事場や学校などから、自宅、住所、友人や周囲の人々などの情報を忘れる。
 知識駅は、今まで覚えてきた知識がなくなるため、EDUが0になる。ジェスチャーなどによる意思疎通はとれるが、言葉が分からないため文字を読んだり意味のある言葉を話すことはできない。
 感情駅では、喜怒哀楽の感情が一切なくなる。恐怖の感情もなくなるためSANチェックが起こらなくなるが、同時に危機察知能力がなくなるため高所から飛び降りるような死に関わることも躊躇わなくなる。
 自分駅では、自分のことが何も分からなくなり、全ての技能が初期値になる。
 多くの探索者はここで自我呆然となり、そのまま次の駅に行ってしてしまうだろう。そのため、場合によっては<POW×5ロール>を振らせるとよい。成功した場合、その人はこの先に行ってはならないと悟り、本能的に電車から降りる。
 花園駅に着いたならば、18. エンディング の天国エンドに直行し、ゲームオーバーとなる


 各停車駅で下りることは可能だが、ホームには駅員室があるだけで何も無い。
 駅員室には青い駅員服を着た人がいる。
 どの駅の職員も人が良く、貴方達に茶菓子をくれる。
 この茶菓子は生者用なので、駅員がくれた緑茶や菓子を飲み食いしても、探索者達はデパートに入れなくなるようなことはない。
 また、この茶菓子を口にすると、下り電車に乗って前の駅に戻るたびに、失った記憶を取り戻すことができる。死神の悪夢駅に戻る頃には元通りである。
 ただし、茶菓子を口にした駅よりも先の駅で無くした記憶は元に戻らない。また、再び上り電車に乗って進んでいけば再度記憶を失うことになる。同じ駅員が茶菓子を出すのは2回までである。それ以上の温情はない。
 なお、白装束以外の服を着ている者がいる場合、怒りはしないが反対方面に乗ることを勧める。



8. 下り電車
 左手の電車には黒いラインが入っており、「次は APP」と表示されている。
 電車の座席にはこちらも様々な人が座っているが、生気のない目をした人や、声をかけても反応がない人がいる。また、フード付きの服を着た者が多く、中にはフードを深く被っている者もいる。服装が変化した後の場合、ほとんどの者は黒いローブを着ている。

 フードを被った人物の顔を見た場合、その顔がまるでミイラのように生気をなくし、土気色で、皮膚は水分がなくなったようにしわくちゃ、頬はこけ、鼻がなく、眼があるはずの場所が窪み、筋肉がないかのように口がだらりと開ききっていた。だというのに、その死体はゆっくりと動き、貴方に目を合わせた。そんなおぞましい化け物と目が合った貴方は思わず鳥肌が立つ。1/1d8のSANチェック。
 もしも探索者が動くミイラの都市伝説を知っている場合、<アイデア>を振ってもいい。成功したならば、探索者はこれが動くミイラなのではないかと確信する。
 なお、一度目が合うとそのフードの人物は座席に座ったまま首だけを動かし、探索者を見続ける。しかし、探索者が別の場所に行っても追いかけてはこないだろう。

 車両を一つ一つ見ていくか、<目星ロール>に成功するか、先頭車両(服屋「Select」側)を覗くか、服屋「Select」の前で聞き耳に成功すると、先頭車両の中で声を殺して泣いている少女・篠原哀がいる。篠原は座席に座り、しくしくと嘆き続けている。服装が変化した後の場合、彼女は黒いローブを着ている。
 篠原に声をかけると、彼女は「私はこっちだって言われたの。自殺しちゃったから。白い服に着替えたいのにどれが白い服なのか分からないの」とさらに涙をこぼす。そして「貴方もこっちなの?駅員さんに聞いた?」と訊ねる。
 彼女は線路を覗いたり車両を覗いているうちに、白い電車が天国行きであり、黒い電車は地獄行きだと気がついたが、自分の色が分からなかったため駅員に訊ねたところ「貴方は黒い服です」と黒い電車まで案内されたのだ。
 彼女に駅員の場所を聞けば、エスカレーターの先の図書館にいたと教えてくれる。
 服を交換することを提案すると、彼女は「貴方たちが地獄行きになる」と拒否する。
 服屋へ連れていって服を選んだり、エスカレーターから服屋「Select」に連れていけば服を着替えてくれる。ただし、服屋では黒いローブを勧められる。
 白装束に着替えられれば、彼女は礼を言って白い電車へ乗り込むだろう。
 なお、彼女は探索者と行動を共にしても生き帰ろうとは思わない。本来の服が見えている状態では喪服に着替えないし、湖から脱出する際には一人残る。死神に生き返らせてもらうことになっても、彼女は天国に行くことを望むだろう。ただし、RPや<説得>次第では再び生を望むかもしれない。


 この電車は地獄行きであるが、こちらはほとんどグラーキの支配下にあり、グラーキが潜む死者の湖に繋がっている。
 発車して駅に着くたびに、探索者は3d6を振り、停車駅名と同じ能力値から出た目を引く。
 勿論、INTが減少したらアイデアも変化するし、回避の技能値等も変化する。また、見た目も能力値の変化によって大幅に変わるだろう。
 ただし、各能力は3より低くならない。
 これらの能力減少は死神の悪夢の中では続くが、悪夢から覚めれば元に戻る。

 停車駅は、 APP → DEX → STR → INT → HP → POW である。
 HP駅では、上り電車と同じように<POW×5ロール>をさせ、成功した場合電車から下ろすとよい。この時、出入り口近くの動くミイラに服を掴まれ、無我夢中で逃げるイベントを挟んでも面白いかもしれない。
 POW駅に着いたならば、18. エンディング の地獄エンドに直行し、ゲームオーバーとなる。

 DEX駅に着くと、フードを深々とかぶった人々が一斉に下車する。
 この駅には上り電車の線路の向こう側へ続く歩道橋があり、その先は湖畔になっている。
 フードの人物達はそちらに向かっているようだが、何をしているのかまでは分からない。
 歩道橋にはエスカレーター1組と階段が設置されている。
 歩道橋の先は、グラーキが潜んでいる死者の湖である。詳細は16. 湖 に記述する。


 こちらも基本的にはどの駅にも改札口はなく、青い駅員服を着た職員がいる駅員室しかない。例外は前述のDEX駅のみである。
 彼らも生者用の茶菓子をくれるが、こちらは上り電車に乗って前の駅に戻るたびに、見た目や能力値が元に戻っていく。注意事項も上り電車の場合と同じである。
 また、黒いローブ以外を着ている場合、反対方面の電車に乗ることを勧める。



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