~本丸発足 139日目~
へし切「主不在から四週間が経とうとしている……主はいったい何をなされているんだ」
歌仙「課題と原稿に追われているらしいね。里が再び開放されたけれど、当分は来れないそうだ」
陸奥守「おーの」
へし切「こうしてはいられない、今すぐ手伝いに行かねば!」ガタッ
歌仙「主の自宅に押しかけるのは禁止されているだろう?これだから黒田は」ハッ
へし切「貴様はそのスマートフォンとやらでやり取りをしているから安心していられるだろうが、こっちは1ヶ月近く放置されているんだぞ!?」ハハッ
陸奥守「おまんらどっちも待機組のはずやに、こがに扱いがちごゆうがは何ろうな」
へし切「うるさい!わざわざこんな部屋に残ったのも主のお傍だからこそ。当の主がいないのにこんなところにいられるか!俺は別の部屋に行くぞ!」ドタドタ
陸奥守「まーたむつかしいとこでフラグを立てゆうのお」
ガラッ
愛染「まーつりだ祭りだー!ハロウィンやろうぜ!!」バーン
歌仙「おや、愛染。そろそろ来る頃だと思っていたよ」
へし切「ハロウィン……?何だそれは。主を困らせるような祭りなら許可できないぞ」
歌仙「主の許可も出てるよ、一ヶ月前に」
へし切「何!?」
愛染「ホントか!?」
陸奥守「ハロウィンっちゅーのはお化けの格好してお菓子を強奪しゆう祭りとにゃあ。ほんまに主が許可しちゅうが?」
歌仙「うん。一ヶ月前、よその本丸でハロウィンを先取りしていたそうでね。うちの本丸でもやってみたいと思ったそうだ」
歌仙「小夜と宗三、江雪、日本号の衣装は決まってるんだけど、他のみんなはこの中から好きな衣装を選んで着ていいと言っていたよ」
愛染「おっ俺たちのサイズもあるな!俺これにする!他のやつにも持ってっていいか!?」
歌仙「構わないよ」
陸奥守「ほいたらわしはこれがいいき、とっとおせ!」
歌仙「海賊だね。銃のホルダーもあるし、よく似合うと思うよ」
陸奥守「そうちやそうちや」
へし切「待て、菓子はどうするんだ」
歌仙「僕がいつもより早く起きていたことを忘れたのかい?今燭台切が配っているところさ」フフン
へし切「……用意周到のわりには周知させないんだな。準備もいるだろうに」
歌仙「一部の人には先に伝えたよ。そもそも君は仮装する必要がないだろう?機動お化けなんだから」ハッ
へし切「圧し切る」
愛染「というわけで、みんなで仮装しようぜ!!」ドッコイセッ
蛍丸「相変わらず唐突だね、国俊」
前田「ハロウィンですか。人を驚かせて良いものなのでしょうか」
秋田「お化けは怖いなあ……あっでも、驚かせるだけなら物陰に隠れれば!」
薬研「違う違う、仮装することが大事なんだ」
薬研「今日は幽霊や怪物が集まる日らしくてな。化け物に襲われないように紛れ込む必要があるらしいぞ」
秋田「ええっ!?」
鯰尾「まあ、もう仮装して楽しむだけのお祭りになっているから大丈夫だって!お化けなんか来ないよ」
骨喰「お化けじゃない仮装もある。こういうのなら怖くない」ゴソゴソ
秋田「あ、うさぎさんだ!」
前田「これなら、まあ」
平野「これは……色違いでしょうか」
厚「世界一有名な双子の服だぜ!前田と平野がマリオとルイージなら俺はこれだな」
薬研「クッパなんてあったのか!俺っちとしたことが完全に出遅れたぜ!」ブォッフォオ
乱「僕はこれ!魔女がいい!」
薬研「こっちのナースにしねえか?俺っちとお揃いだ」
乱「あ、そっちもいいかも。どうしよっかなー」
蛍丸「国俊は悪魔なの?じゃあ俺はこれにしーよっと」
愛染「おっ何だ何だ?……なんだそれ」
蛍丸「ゴブリン。悪戯好きの妖精らしいね」
愛染「ふーん?」
平野「兄さん、起きられますか?」
五虎退「うーん」ムニャムニャ
鯰尾「あー、五虎は一度寝ると起きないからなー。ほーら、起きろー!」グイッ
五虎退「わっわっ!?」ゴロンッ
平野「!大丈夫ですか?」
五虎退「え、えっと……おはようございます?」キョトン
平野「大丈夫そうですね……」
鯰尾「五虎退は見た目より強いからね。どう?ばみ、良いの見つかった?」
骨喰「多分これがいいと思う」
鯰尾「あっそれいいかも!ほら五虎退、虎さんとお揃いだよ」
五虎退「びゃっこ……の、きぐるみ……?あの、なにかあるんですか……?」ムニャムニャ
鯰尾「ハロウィンだから仮装して本丸を回るんだ!あ、ちなみに俺は黒猫ね」
骨喰「俺は白猫だ」
五虎退「えっと……とにかく、じゅんびしますね……」ウトウト
小夜「おはよう……」
乱「あっ小夜くん、おはよう!小夜くんは狼男なんだね。可愛い!」
小夜「あ、ありがとう。歌仙に手伝ってもらったんだけど、歌仙はたまにズレてる時があるから……」
乱「大丈夫、似合ってるよ。お兄さん達には手伝ってもらわなかったんだね」
小夜「宗三兄様は化粧が大変みたいだし、江雪兄様は上手く頭巾が付けられなくて」
乱「江雪さん髪の毛サラサラだもんね。羨ましいなー」
小夜「乱の髪も綺麗だと思うけど」
乱「ほんとう?嬉しいな!」
秋田「お二人は何の格好をしてるの?」
小夜「江雪兄様は幽霊で、宗三兄様は……たしか、腐乱拳……?」
薬研「フランケンシュタインだな。死体をつぎはぎした人造人間だ」
小夜「そう、それ」
秋田「大変そうだね。手伝ってきた方がいいのかなあ」
薬研「いや、宗三のことだし今頃にっかりに手伝ってもらってるだろ」
秋田「お二人とも仲がよろしいですからね!わかりました」
乱「じゃあ僕が」ダッ
薬研「乱も行くなよ?」ガシッ
乱「えー?」
薬研「後で文句言われるの俺っちなんだから」
乱「イチャイチャしてるところ見に行きたいのにー」ブー
薬研「乱は俺っちと化粧してような?ただの看護婦と医者じゃあ化け物にならねえんだから」
乱「はーい」
秋田「?」
今剣「おはよーございまーす!」
岩融「おはよう!粟田口の面々と短刀達よ」
獅子王「おっみんな揃ってんな。って、博多がいないのか」
前田「おはようございます!おや、天狗と骸骨ですか?」
今剣「そーですよ!いわとおしはごーれむだそうです」
岩融「泥や岩でできた怪物らしいな!どうだ、俺にぴったりだろう?」
前田「はい、力強い岩融殿にぴったりですね。ところで、何かご用でしょうか?」
獅子王「手伝いついでに菓子を配りに来たんだ。短刀ばっかだと大変だろ?」
鯰尾「わあ、助かるよ!いち兄も鳴狐もまだ戻ってないんだ」
岩融「二人なら先ほど見かけたが、博多藤四郎はどうした?」
鯰尾「博多なら長谷部さんのところに行っちゃいましたよ。何でも十字架を借りたいとか」
獅子王「十字架ぁ?何でまた」
博多「えー、そこの貴方!悪魔祓い、悪魔祓いをいたしませんか!」
博多「幽霊から悪魔まで、何でも祓います。今ならたったの小判100枚!」
博多「悪魔祓い、悪魔祓いをいたしませんかー!」
獅子王「……博多らしいな」
鯰尾「……」アハハ
前田「あの、ハロウィンはお菓子がもらえるのですか?」
岩融「おう!トリックオアトリートと申してみよ」
前田「ええと、とりっくおあとりーと、ですか?」
今剣「はい、どうぞ!はっぴーはろうぃん!」ゴソゴソ ズイッ
前田「あ、ありがとうございます!」
愛染「あ、前田ずりい!俺も俺も!トリックオアトリートメント!」
獅子王「トリックオアトリートな?ほら」
愛染「やったー!!一個目だ!!ほら蛍も!」
蛍丸「俺も貰っていい?」
獅子王「おう!ほらよ」
愛染「何だよ蛍も言えよなー」
蛍丸「俺は大太刀だからいーの」モグモグ
愛染「何だよそれー」
お供の狐「やあやあ皆さまおそろいで」
一期「おや、先を越されましたかな」
鯰尾「あっいち兄!鳴狐!やっと帰ってきた!……鳴狐だよね?」
鳴狐「」コクッ
五虎退「え?……あ、すみません。てっきり女性の方かと」
お供の狐「玉藻御前様のお姿ですぞ!わたくしめはお供の狐改め、九尾の狐でございます」
鯰尾「なーるほど!」
五虎退「すみません、とってもお綺麗だったので……」
鳴狐「……ありがとう」
一期「すまないね、燭台切殿にお菓子を用意してもらっていたんだ」
鳴狐「……」スッ
お供の狐「さあさ、岩融殿も獅子王殿もどうぞ一口!」
獅子王「おっ俺もいいのか?じゃあもーらいっと」
小夜「一期も吸血鬼なの?」
一期「おや?他にもいたのかい?」
小夜「日本号がドラキュラ伯爵だった。血じゃなくて酒を呑んでいたけど」
一期「ああ、なるほど。では私はドラキュラ伯爵ではないヴァンパイアとしようか」
小夜「それがいいと思う」コクッ
愛染「あっ一期!菓子くれ!トリックオアトリートメント!」
獅子王「トリートな」
一期「ははは、はいどうぞ」
厚「あっいち兄戻ってきてたんだ。ちょっと甲羅を着けてくれねえか?」
一期「はいはい。鳴狐、お菓子は頼んだよ」
鳴狐「」コクッ
乱「できたー!あっいち兄、見て見て!お化けナースなの!」
一期「!?」
五虎退「!!!」ヒッ
秋田「えっ乱兄さん大丈夫ですか!?」
乱「大丈夫だよ!メイクだもん」
一期「こ、これはまた凄いゾンビだなあ」
薬研「俺っちとお揃いなんだぜ。雅なことは分からんが、汚すのは得意だからな!」ケラケラ
一期「こらこら」
獅子王「これは準備に結構時間がかかりそうだな。畑は俺たちでやっておくとして、他の連中の様子も見に行くか?」
岩融「そうだな、そうするか」
今剣「じゃあ、ぼくはたんとうたちといっしょにほんまるをまわってきますね!」
岩融「おう!そういえば石切丸殿は大丈夫なのか?」
獅子王「俺が部屋から出た時には朝の祈祷中だったけど、そういや何の恰好してるんだろ。ちょっと見てくるか」
岩融「では俺も一緒に行こうぞ!」
獅子王「一期、後は任せたぜ!」
一期「どうも弟たちがお世話になりました」
獅子王「おう!じゃあまた後でな」
スタスタスタ…
獅子王「他の部屋の連中も忙しそうだな」
岩融「仮装など皆初めてだろう。戸惑うのも無理はない」
獅子王「じっちゃん達の部屋も気になるけど、行ったら昼まで手が離せなくなりそうだなー……ん!?」バッ
同田貫「ん?」ヌッ
岩融「!?」
獅子王「ぎゃあああああ!!!同田貫、どうしたんだよその頭!!」
同田貫「あん?これは……」
ドタドタドタドタッ
浦島・薬研・へし切「「「どうした、獅子王!!」」」バッ
獅子王「浦島!薬研!長谷部!同田貫が、同田貫が……!」
同田貫「おい、獅子王。これは……」
岩融「奇怪なことに、頭が真っ二つになったまま動き回っているんだ」
へし切「何!?」
浦島「な、なんだってー!?事件だ事件だ!!」
同田貫「待てよ浦島。これは……」
御手杵「どうした?同田貫」
蜻蛉切「これは獅子王殿、岩融ど……」
今剣「なにごとですか!?」
乱「えっ同田貫さん、どうして!?」
愛染「うおおお!?なんだありゃあ!?」
蜂須賀「浦島!大丈夫かい!?」
博多「どげんしたと!?」
五虎退「大丈夫ですか!?」
鯰尾「敵襲か!?」
小夜「僕が殺す相手はどこ?教えて、今すぐ」
同田貫「話を聞けよ」
骨喰「警戒態勢を取れ!」
厚「どこだ!?屋根の上か!?」
秋田「いえ、廊下の下かもしれません!」
前田「索敵なら私達が!」
平野「この体になって日は浅いですが、私でもお役に立てることがあれば!」
お供の狐「さあ鳴狐、渾身の一撃を!」
陸奥守「なんじゃなんじゃ!?」
大和守「どうしたの?」
長曽祢「何の騒ぎだ?これは」
和泉守「おいおい、ひでえ怪我じゃねえか!」
加州「ちょっと安定!置いてかないでよ!」
燭台切「うわっ同田貫君死んじゃったの!?」
大倶利伽羅「勝手に殺すな」
一期「同田貫殿!?いったい誰がこんなことを」
江雪「和睦の道は……ないのでしょうか」キャキッ
蛍丸「うっわー酷いことになってるね」
薬研「何で手入れ部屋に行かねえんだ!行きづらいなら俺が診てやる。ほら、見せてみろ!」
同田貫「だから、大丈夫だっつーの!」
次郎「なーにが大丈夫なんだい!?あんた、大怪我してるじゃないのさ!!」
同田貫「誰だお前!?」
次郎「次郎太刀だよ!いい加減すっぴんも覚えな!」
同田貫「すっぴんどころか全身真っ赤じゃねえか!というかいつもあんなに着込んでるのにパンツ一丁でいいのか!?」
太郎「どうやら大丈夫そうですが、手入れ部屋の準備をしてきましょうか?」
同田貫「じゃなくて、これは……」
歌仙「おや?同田貫。斬るなら首から斬ればのに。僕がやってあげようか?」
同田貫「誰が斬るか!!これは絵だっての!仮装だ仮装!!」
刀剣男子達「「「……」」」
愛染「へ、へ!なーんだ!びっくりさせやがって!!」
乱「よかったー」
和泉守「ほんっと騒がせるなよ!」
同田貫「お前らが勝手に騒いだんだろうが!」
岩融「すまんすまん、早とちりしてしまった」
獅子王「だって突然こんなの見てみろよ!騒ぐだろ!?」
同田貫「今日はハロウィンだろ?歌仙が気合入れて参加してみろって言うから準備したのに、その言い草はねえだろ」
へし切「貴様が原因か」
歌仙「ははは。まさかここまでの物を作るとはね」
秋田「でも、何事もなくてよかったです」
前田「そうですね。叫び声が聞こえた時には肝が冷えました」
蛍丸「俺は最初から分かってたもんね」
愛染「んなっお、俺だってわかってたし!」
蛍丸「ほんとー?」
愛染「ほんとだって!」
薬研「もしかしてこれ、剥がせるのか?」マジマジ
同田貫「ああ、そうらしいな。……やり直しになるから剥がすなよ」
薬研「へー、こりゃいいな。確かにこれなら傷つけずに断面をつけられる」ペタペタ
五虎退「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
同田貫「ああ。何ならよく見てみるか?」ズイッ
五虎退「ひっ」
御手杵「大丈夫だって、ほら。これも血糊だし」
五虎退「で、でも……」プルプル
薬研「まあ俺たちは断面なんてなかなか見ねえからな。しょうがねえよ」
厚「これが腹ならまた別なんだろうけどなあ」
博多「人騒がせばい」
同田貫「そうかよ」フン
歌仙(うーん。このイベントで少しでも同田貫と短刀達の距離を近づけさせようと思ったけど、失敗だったかな?)
前田「……あ、あの、その傷はもしや、同田貫殿が斬ったものですか?」オズオズ
同田貫「ん?」
前田「いえ、お手持ちの兜がいつもより割れているので、もしかしたらと思ったのですが」
平野「なるほど!言われてみれば確かにそうですね」
同田貫「確かに、これは俺が兜ごと斬った敵の霊のつもりだぜ。まあ、流石に全身青白く塗るのはできなかったけどよ」
五虎退「えっ?同田貫さんって、そんなに深く斬れるんですか?あ、ごめんなさい。変な意味じゃなくて」
同田貫「ったりめーだろ?なんたって俺は、兜割りに成功した唯一の刀なんだからな」
秋田「す、すごいです!どうやってやるんですか?」
同田貫「そりゃあ、こう……思いっ切り振り下ろすんだよ」
愛染「そんなんでできんのかよ!すっげー!!」
厚「俺達短刀にはできない芸当だよな!素直に尊敬するぜ!」
同田貫「お、おう……何かくすぐってえな」ポリポリ
歌仙「よかったね、同田貫」
同田貫「な、何がだよ!!クソッ」カアァ
へし切「しかし、何だこの人だかりは。有事の際の役割は決めただろう」
小夜「ごめん。何かあったらと思ったら、つい駆けつけちゃった」
薬研「小夜と俺は奇襲係なんだから問題ねえだろ。それより持ち場を離れてる連中が多すぎだ」
乱「あっそっか。本当に事件だったら、みんな集まるのは危ないもんね」
燭台切「だから鶴丸さんや宗三君達が来ていないのかあ。僕らも見習わないと」
獅子王「多分石切丸は遅いだけだし、じっちゃん達もスルーしてると思うけどな」
和泉守「それでも分散しているだけマシだろ。打刀がほとんど集まっちまったのは俺の責任だ。すまねえ」
今剣「ぼくもじゅんかいしていませんでした!ごめんなさい!」
骨喰「次からは気をつける」
蛍丸「まあ、今回は大丈夫そうだったし、問題ないでしょ」
へし切「何を言っている。普段から動けないで有事に動けると思うな。まだ練度の差が大きいんだ。俺達が動けなければ全滅するぞ」
歌仙「そうだね。今度主に言って訓練をしようか。いつ何があっても帰る場所は守れるようにしないと」
鯰尾「そうだね!担当場所を決めただけじゃ、いざという時動けないし」
大倶利伽羅「おい、国広兄弟が来ていないぞ。あいつらは現場に来るはずなんだが……」
バタバタバタ
堀川「ごめんなさい、大丈夫でしたか?」
山伏「修行不足であるぞ!兄弟」
山姥切「すまない……」グッタリ
陸奥守「どういたが!?山姥切」
蜂須賀「いったい何があったんだい?」
堀川「兄弟が慌てて壁に頭をぶつけたんです。布に穴を開ける前だったので、前が見えなかったから……」
お供の狐「それはそれは、たいへんでしたねぇ」
大和守「僕、お水持ってくるよ!」
堀川「あっ僕も手伝うよ。兄弟、兄弟のことは任せたよ!」
山伏「カッカッカ、任せよ!」
平野「では皆さんの分のお茶も一緒に用意致しましょうか」
燭台切「そうだね。せっかく集まったんだし、みんなでお菓子パーティーをしようか」
愛染「パーティー!やるやる!!」パアァ
蛍丸「じゃあ俺先に食堂行ってるね」
愛染「あっ待てよ蛍!俺が一番乗りだー!」ダッ
厚「おっ楽しそうだな。俺も行くか!みんなで競争だ!」ダッ
乱「あっ待ってよ厚兄!」ダッ
五虎退「兄さん、置いていかないでください!」ダッ
博多「一番乗りばい!」ダッ
鯰尾「あっ俺たち先に行ってますね!」
小夜「江雪兄様、僕もいい?」
江雪「ええ。いってらっしゃい、小夜」
小夜「うん……!」ダッ
お供の狐「ではわたくしどもは厨へ行ってまいりまする」
今剣「じゃあぼくがほかのひとにもつたえてきますね!」ピョンッ
御手杵「うおっ屋根の上は危ないから気をつけろよー!……行っちまった」
岩融「まあ今剣ならば大丈夫だろう」
蜻蛉切「主が不在の時にこんなに騒いでいいものなのだろうか……」
陸奥守「かまんぜよかまんぜよ。主もこればあ許してくれるぜよ」
次郎「よーし!あたしのとっておきを出しちゃおうかなー?」
太郎「その格好で酒を呑んでは、まるで酒呑童子ですね」
次郎「あっはっは!違いないねえ。まあ兄貴も人のこと言えないけど!」
一期「何かお手伝いしますよ?」
燭台切「いやいや。せっかくそこに暇そうな長谷部君がいるんだから、ゆっくり休みなよ。朝から短刀達の手伝い大変だったでしょ?」
へし切「一言多いが、まあ俺が手伝うのが妥当だろう。あいつらが暴れないよう見ておいてくれ」
一期「はい。ではお言葉に甘えて」クスクス
石切丸「おやおや、可愛らしい幽霊が沢山いるね。お祓いでもするかい?」
獅子王「あっ石切丸!やっと来たか!って、いつもの恰好とたいして変わんない気が……」
石切丸「宮司だよ。自分以外のものになりきるのもいいけど、やはり平静が一番さ」
今剣「みなさーん!つれてきましたよー!」
宗三「おや、思った以上に勢ぞろいですねえ」
にっかり「一応見回りもしておいたけど、本丸内に異常はなかったよ」
日本号「ほれ、酒も持ってきたぞ」
次郎「おっお酒ー!呑もう呑もう!!」
太郎「はあ……ほどほどにするのですよ」
鶯丸「俺は茶にしてくれ」
岩融「ん?鶯丸、それは何の恰好だ?」
鶯丸「勿論、大包平だ」
岩融「そうか!いつかそやつにも会ってみたいものよ」
長曽祢「待て。そいつはまだ未実そ……」
浦島「まあいいじゃんいいじゃん!俺たちも行こうぜ!」グイグイ
蜂須賀「うっ浦島、そこは傷が……それに俺は贋作となんて」
浦島「そんなこと言ったら、今日は俺も浦島太郎の贋作だもんね!蜂須賀兄ちゃんも乙姫様の贋作だろ?関係ないって!」
蜂須賀「はあ……今日だけだぞ?」フフッ
三日月「ハッハッハ、皆楽しんでいるようで何よりだ」
歌仙「おや?三日月。君は着替えなかったのかい?」
三日月「なに、今日は人が襲われぬよう人外に化ける日だろう?付喪神には必要なかろう」
歌仙「それはそうだけど、せっかくの行事なのに楽しまないのかい?」
三日月「十分楽しんでおるぞ?皆揃うことが少なかったからな。後は少しの茶菓子があれば満足だ」
歌仙「そうか。思ったよりこの本丸のことを気に入ってくれているようでよかった」
三日月「まあ、何か選んでくれるなら着てやるぞ?おしゃれはよくわからなくてな」
歌仙「確か魔法使いの恰好があったかな。それならすぐに着替えられると思うよ」
三日月「では頼んだぞ」
歌仙「……帽子をかぶってマントを羽織って杖を持つだけだから、自分でできないかな?」
三日月「それは無理な相談だな」ハッハッハ
今剣「あっそうだ!みんなでしゃしんをとりませんか?」
御手杵「おっいいなそれ!」
山姥切「写真……?何でまた。俺は映らないぞ」
今剣「えーなんでですか?おもいでつくりしましょうよー」
加州「そうだよ。せっかく可愛くしたんだから、主に見てもらわないとね」
宗三「仮装で撮るのでしょう?その布を被っていれば顔は映りませんよ」
山姥切「……わかった」
審神者「おーい、久しぶり!上手くやってるようだな!」
歌仙「主!?今日は来れないんじゃなかったのかい?」
審神者「いやな、思ったよりもイベントの期間が短いと聞いたんだ。今日の午後からでも出陣しないと新しい刀を迎えられないだろ?」
へし切「!?主!!おかえりなさいませ!」シュバッ
審神者「おっへし切ただいま!相変わらず速いな」
へし切「何をいたしましょうか。トーン貼り?課題の完成?ご随意にどうぞ」
審神者「じゃあレポート代わりに書いてもらおうかな」
歌仙「主?」
審神者「じょ、冗談だって」
日本号「せっかくだ、お前さんも一緒に呑もうぜ」
審神者「また潰すのは勘弁してくれ……」
鶯丸「主は俺がいれた茶を所望らしい。引っ込んでもらおうか」
審神者「鶯いたのか」
日本号「そう言われたら引けねえのが男だろ。どうだ主。俺が酒に呑まれねえ飲み方ってものを教えてやるよ」
審神者「いや、この後出陣するから駄目だぞ?飲酒出陣、ダメ、絶対」
江雪「二人とも、喧嘩してはなりません……ここは白湯で手を打っては」
審神者「うん、菓子ならせめてジュースがいいかな。というか俺はコーヒーが飲みたいんだけど」
へし切「主命とあれば!」シュバッ
審神者「あっへしありがとう愛してる」
鶯丸「茶とコーヒーか。新たな扉が開けそうだな」
審神者「開かないぞ?」
加州「ね、ねえ主。俺可愛いかな……?」
審神者「あーうん可愛いね。でも今は場をおさめてほしいかな?」
ドッタ ドッタ ドッタ
鶴丸「おーい、何かあったのかー?」デーン
一同「「「……」」」
鶴丸「超巨大ジャックオランタンの着ぐるみだ!廊下も歩けないサイズだぞ!どうだ、驚いたか?」ケラケラケラ
一同「「「……」」」
同田貫「行くか」
和泉守「そうだな」
審神者「そうするか」
スタスタスタ…
鶴丸「おーい、どうした?あまりの驚きに声もないか?ってなんだ、昼餉か?今日は菓子がメインなのか?ちょ、つっかえた。戸をもう少し開いてくれないか?……ああ、無理だな。うん……おーい……」
Happy Halloween!!
* * *
補足 みんなの仮装
歌仙…死神
小夜…狼男
大倶利伽羅…眠り鼠
乱 …ゾンビナース
獅子王…骸骨
五虎退…白虎
秋田…うさぎの着ぐるみ
石切丸…神主
鯰尾…黒猫
薬研…ゾンビドクター
燭台切…いかれた帽子屋
大和守…天使
和泉守…かっこよくてつよいミイラ
今剣…天狗
堀川…キョンシー
山姥切…ゴースト
前田…マリオ
鶴丸…ジャックオランタンの着ぐるみ(巨大)
宗三…フランケンシュタイン
にっかり…魔王
加州…小悪魔
愛染…悪魔
鳴狐…玉藻御前(お供は九尾の狐)
次郎…赤鬼
蜂須賀…乙姫
蛍丸…ゴブリン
へし切…機動お化け→落ち武者
陸奥守…海賊
骨喰…白猫
山伏…ピエロ
太郎…青鬼
博多…エクソシスト
同田貫…頭を叩き割られた敵の霊
蜻蛉…オズの魔法使いのライオン
浦島…浦島太郎
鶯丸…大包平(謎)
三日月…なし→魔法使い
厚 …クッパ
一期…バンパイア
御手杵…オズの魔法使いのブリキ
岩融…ゴーレム
長曽祢…口裂け男
江雪…幽霊
日本号…ドラキュラ伯爵
平野…ルイージ
<<2015/11/02 01:42 以上、うちの本丸事情第二弾の番外編でした。
とうらぶでイベントものを書く気はなかったのですが、某先生のハロウィンイラストを見て萌が爆発しました。
本当はにか宗+日本号のちょっとした漫画にしようかと思っていたのですが、原稿が進まないのに描けるはずがなかったね!
というわけで、本編にしたかった部分と本編の補足となるおまけを用意しました。
にか宗好きの同士はどうぞ以下へお進みください。>>おまけ 宗三とにっかりと日本号の様子
※にか宗です。
※すずじろ先生のイラストを見て萌えが爆発しました。
本当はこのシーンを書くために本編を書きました。書けませんでした。というわけで別枠です。
※まだシリーズ中で書けていませんが、日本号とにっかりと宗三が同室になっています。
以上よろしい方のみお読みください。
* * *
にっかり「宗三君、日本号、君たちは何をしてるんだい?」
宗三「仮装です。見て分かりませんか?」ヌリヌリ
にっかり「いや、何でそんなことをしているんだい?せめてズボンは履こうよ」
日本号「何でも何も、今日はハロウィンだろ?」
にっかり「ああ、そういえばそうだね。どうりで霊が多いわけだ」
宗三「主と歌仙で企画して仮装パーティーをするようで。妖怪に化ければお菓子が沢山食べられるそうですよ」
にっかり「当の主はしばらく不在だろう?遠征の報告すらできていないじゃないか」
宗三「らいんとやらで送ってきたそうですよ。まあ指揮をとるのはどうせ歌仙ですから」
にっかり「ふーん?僕も何か着た方がいいかな」
宗三「貞子でしたか?てれびから這い出る女の霊ならすぐにできるのでは?」
にっかり「確かに、この白装束を着て髪を前に垂らせばそれらしくなるけど、にっかり笑っても分からないじゃないか」
宗三「そうですか。楽だと思ったのですけれど」
にっかり「そう言うわりに、君はだいぶ凝ったものにするんだね」
宗三「僕達は指定されているんですよ。何でも、他の本丸の僕達がこういった衣装を着ていたそうで」
にっかり「二人でかい?」
宗三「まさか。小夜と江雪兄様も一緒ですよ。小夜が狼男で江雪兄様が幽霊です」
日本号「で、俺が杯を持ったドラキュラだな。なんだ、妬いたか?」
にっかり「まあね。そう思うのなら、一度部屋を出てくれればいいのに」
日本号「ここは俺の部屋でもあるんだぞ?まあ、どうせ着替え終わったところだ。お前の分も貰ってきてやるよ」
にっかり「できれば洋装でお願いするよ」
日本号「期待はするなよ」ガラッ
スタスタスタ…
にっかり「……せっかく二人っきりになったのに、こっちを向いてはくれないのかい?」
宗三「忙しいんですよ。見て分からないんですか?」
にっかり「手伝おうか?」
宗三「そうですね……では、髪を」スルッ
にっかり「おや、解いてしまうのかい?」
宗三「頭に飾りをつける時に、少し乱れてしまったんですよ。結んでもらえますか?」
にっかり「勿論、喜んで」ニッカリ
歌仙「三日月と鶯丸には先に話してあるし、鶴丸のところにはへし切が行っているから問題ないだろう。後は……」
日本号「おう、歌仙。ご苦労なこったな」
歌仙「おや、日本号。どうかしたのかい?」
日本号「にっかりに合いそうな衣装はあるか?持って行ってやろうと思ってな」
歌仙「助かるよ。馬に蹴られたくはないからね。にっかりなら白装束かピッタリした洋装かな。何かあればいいけれど」
日本号「しっかしいろんなのがあるが、サイズがバラバラなのに同じ種類は一つしかないんだな」
歌仙「それでも今のところ希望の服とサイズは一致しているんだ。流石は僕らの主だよ。さて、にっかりの体格だとこの辺りかな?これなんてどうだろう」
日本号「おっいいねえ。でもどうせなら……」
宗三「よその本丸は秘宝の里とやらに何度も出陣しているのに、僕達は行かなくていいのでしょうかね」
にっかり「さあね。隣の本丸もさっき初めて行ったみたいだけど、小判をはたいて何度も出陣しているらしいし」
にっかり(いつもはほどいてばかりだけど、たまにはこういうのもいいなあ……)ジーン
ポロッ
宗三「おや、筆が……」
にっかり「それにしてもさ、宗三君。ズボンを履かないなんて、誘っているのかい?」スッ
宗三「残念ですが、じきに短刀達が回ってきますよ。こうやって汚さないように脱いでいるだけです」
にっかり「そう。でもさ、恋人が自分以外の男に肌を見せていて、平常心でいられると思うかい?」
宗三「別にこのくらい、いつも通りですよ」
にっかり「ほとんど彼シャツ状態じゃないか」
宗三「貴方のシャツなんて着たらヘソが出ますよ?」
ガラッ
日本号「おーい、持ってきたぞ。宗三はまだ終わらないのか?」
宗三「うるさいですね。もう少し気を使って遅く帰ってきてください」
にっかり「まあまあ。それは何だい?」
日本号「魔王の衣装だそうだ。厚底だから少しは身長を誤魔化せるぞ?」
にっかり「なっ……」
日本号「じゃあ、邪魔したな。俺は小夜達の手伝いにでも行ってくる」
にっかり「あ、ありがとう……」カアァ
ピシャッ
宗三「……そういえば、庭先に出るのにもいつもブーツを履いているのって……」
にっかり「と、とにかく着ようか!早くしないと短刀達が来てしまうからね!」ワタワタ
宗三「……手伝いますよ。厚底ブーツを履かせればいいですか?」クスクス
にっかり「もうその話はいいだろう!?」カアァ
獅子王「ぎゃああああああ!!!どうた……」
にっかり「!今の声は獅子王君かな」ピクリ
宗三「大丈夫ですよ。獅子王が近くにいるなら大事になる前に解決するでしょうし、そうでないなら僕らはこの森から抜けてくる道を見張るべきです」
にっかり「それもそうだね。一応後で一通り本丸を見て回ろうか」
宗三「全体の見回りは今剣と愛染の担当では?」
にっかり「久々に二人で歩きたいがための口実さ。駄目かな?」
宗三「身長を誤魔化してですか?」クスリ
にっかり「……嫌ならやめるよ?」
宗三「どちらでも構いませんよ。さ、仮装を完成させてしまいましょう」
にっかり「こんな感じかな?」
宗三「よくお似合いですよ」
にっかり「君もよく似合っているよ。美しさで相手を虜にする怪物かな」
宗三「腐乱拳ですよ。ただの継ぎ接ぎ人形です。さて、何かお菓子の入る袋は……」
スタッ
今剣「そーざさん!あおえ!いちゃいちゃしてるところわるいですが、しょくどーにきてください!おかしぱーてぃーですよ!」ピョコッ
宗三「おや、ちょうど良かったみたいですね」
にっかり「今剣君、僕達は本丸を回って確認してから行くから、先に行ってもらってもいいかな?」
今剣「りょーかいです!あとでごうりゅうしましょーね!ばびゅーん!!」シュタッ
にっかり「じゃあ、僕達も行こうか」スッ
宗三「ええ」ギュッ
~in お菓子パーティー~
乱「あれ?宗三さん。いつもと髪型が違うね」
薬研「あっ馬鹿」バッ
乱「むぐっ」
宗三「青江にやってもらったんです。思ったよりも化粧に手間取ってしまって」
乱「ぷはっやっぱりそうなんだ!にっかりさんとお揃いだったからビックリしちゃった!」
宗三「え?……おや。結び目を髪で隠してあるのですね」サワサワ チラッ
にっかり「……そ、そんな顔で見ないでくれるかな?恥ずかしいんだけど」カアァ
宗三「案外良いものですね。今度また結んでくれますか?」
にっかり「よ、喜んで」
審神者「お熱いことで何よりだ!」ハハハ
にっかり「からかわないでくれないかな!」
乱(あーあ、やっぱりお部屋覗きたかったな!もー、薬研の馬鹿!!)
薬研(後で二人に照れ隠しで絞められる……練度の差があるからって俺っちばっかり絞めるなよ。乱の馬鹿野郎!)
終幕