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26 April

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26 September

ナナリーチョップ!!

映画に行く前に勢いだけで書き終えたものをupしておきます。


 turn8&ナナリーダイアリーの派生話。完全にギャグです。

 黒リー、最凶ナナリーが苦手な方はお戻りください。



 では、追記からどうぞ。








『間もなく始まる式典に立ち会おうと、すでに大勢のイレブンが集まっています。百万人を超えているため身元確認などは式典後となりますが、同時に、この動員数は、イレブンにとってゼロの言葉が未だ重いことを感じさせます。』



 行政特区日本。一部地域限定とはなるが、日本人とブリタニア人が平等に暮らせることを目指す、優しい世界への第一歩。そんな多くの人々のトラウマになっているであろうこの政策が今ここに成せているのは、100万人の日本人たちが今日このシズオカゲットーに来てくれたからこそ。・・・ゼロめ、と総督のそばに控えるスザクは内心苛立ちをぶつける。認めたくないが、確かに日本人たちは、ゼロを必要としているのだ。しかし・・・

「しかしそのゼロは、イレブンを裏切ろうとしているんだ。」
 金髪の騎士は、そういって愉しそうに笑う。暴動が起きませんか、と懸念する部下に、そのときは粛清の大義名分が立つんだってさ、と言いながら己の愛機に乗り込む様は、これから起きることを何も知らないからこそ。いつまで続くかも分からない余裕を見せながら、彼は先に手を出さないようにという自分の命への返答を軽く聞き流した。



 そんな通信の最中、扇・ヴィレッタコンビや中華連邦組が何か話していたようだが知ったこっちゃねえ。我らがナナリー・ヴィ・ブリタニア皇女殿下は、マイクの前で一息吸うと、明朗とした声で話し始めた。



「日本人のみなさん、行政特区日本へようこそ・・・って、ゼロはいないんですか?」


 一瞬で不機嫌になったが。

「そ、総督。マイクが入ったままです。」
「あら、すみません。でも私、日本人にはいろいろ取り繕わなくていいかな、と思ってるんです。」

 何か爆弾を落とし始めましたよ、この皇女様。
 ザワザワと落ち着きを失くす日本人達を見て、「あら嫌だ、見苦しい。」とまで吐き捨てている彼女の顔には、慈悲というより悪魔の笑みが。

「ははは。ナナリーが日本人贔屓なのは、ルルーシュが日本大好きだからだもんね。」
「当然です。何で私が、昔ブリタニアの皇子というだけでお兄様を虐げ石を投げつけた人たちを好きにならなきゃいけないんですか。私はお兄様のような妖精さんではないんです。・・・ああ、咲世子さんや藤堂さんは別ですが。」
「ナナリー、僕の名前が入ってないよ?」
「うふふ、黙れ人非人が。」

 白い肌に天使のような髪、ピンク色の可愛らしい洋服。華奢な体を大きな車椅子にチョコンと乗せ・・・毒を吐いている。ああ、これが見た目詐欺というものなのか。民衆は思った。ついでにブリタニア軍もである。・・・うん、意外と共存できるかもしれない。


 というか行方不明のお兄様、どこの聖人君子ですか!?この妹の兄なのに!?


 ブリタニア軍人たちは「流石マリアンヌ后妃の(まともな)ご子息!」と涙を流し、日本人達は戸惑いの視線を猛毒少女へ向けた。流石にここまでは心通わせられなかったらしい。
 そんな初っ端からいろんな意味で挫けそうになっている民衆達を纏めるべく、彼女の前にあるものとは別のマイクを取り出したのはミスローマイヤだ。


「ご、ゴホンッそれでは式典に入る前に、私達がゼロと交わした確認事項を伝えます。帝国臣民として行政特区日本に参加する者は、極者として罪一等を減じ、三級以下の犯罪者は執行猶予扱いとする。しかしながら、カラレス前総督の殺害など、指導者の責任は許しがたい。エリア特法12条第8項に従い、ゼロだけは国外追放処分とする。」


 その言葉を聞いて、ゼロだけ逃げるのかとざわめくのは外野だけ。それもそのはず。残されるはずの本人達は一緒について行く気満々なのだから。そうとも知らない枢木スザクは、そんな民衆の反応を見てゼロ・・・と奥歯を強くかみ締める。
 そのとき、突如画面が切り替わった。そこにいたのは、当の指導者である仮面の男。


『ありがとう、ブリタニアの諸君。寛大なるご処置・・・』
「いいえ、間違っています。その法は改正したはずです。」


 颯爽と場を乗っ取りほくそ笑んでいたゼロは、突然乱入してきた声に固まった。
 当然だろう。もう既に始まっているこの作戦は、ゼロの国外追放という処罰がなければ成り立たない。

 そして当の乱入者――本来はゼロの方が乱入したはずなのだが――は、そんな彼の様子どころか存在にも気づかないまま言葉を続ける。


「先日、エリア特法12条は大幅に改正いたしました。悪人には、すべからく『ナナリーチョップ』を。先日公布した『すばらしきナナリー総督の歌』にも出てくるでしょう。」

 仕事が遅いですよ、と眉間にシワを寄せる総督にローマイヤ夫人が咄嗟に謝っているが、いろいろツッコませていただきたい。


 何ですか、すばらしきナナリー総督の歌って!!
 というかナナリーチョップ?あの見た目詐欺とはいえ一応か弱げな少女のチョップが罰になるのか?


 そう首を傾げる者たちの中で、枢木スザクの変化に気づく者はごく一部。その理由を知る者は、会場内では恐らく二人だけだろう。その片割れである紅蓮の少女は学園での出来事を思い出しては頬を引きつらせ、もう一人は遠く明後日へと視線を泳がせた。
 ・・・うん、頑張れスザク。巻き込まれても助けはしないけど。だって関わりたくないもの。
 そんな彼らを尻目に、総督はクツクツと笑う。


「ですから、一人だけ国外逃亡しようとしてしまうような悪い子にはナナリーチョップです。」


 今語尾にハートが見えた気がしたが、気のせいだと思いたい。勿論、ハートとはいっても真っ黒いハートである。
 その瞬間、ナナリーのスイッチが入っちゃった!!と焦る件の3人の心もひとつになる。


 何とかしてナナリーを止めないと!か弱いゼロが死んじゃう!!




 さて、忘れていないだろうか。そう、意表をついて画面に登場したはいいものの、完全に放置されている我らが主人公ゼロである。ちなみに彼はこの状況をわかっていない。というかわかりたくない。いっそヒステリーを起こすかナナリィィィィ!!!と叫んで逃げ出したいぐらい嫌な予感はしているのだが、その理由が把握できていないのだ。・・・しかし、私はもうナナリーのためだけのゼロではないのだ!と己を奮起させ、おずおずとながらも彼女に話しかけることにしたようだ。・・・それが悲劇、いや喜劇を呼ぶとは知らずに。


「な、ナナリー総督・・・?」
「あら、ゼロ!来てくれたのですね!今どこにいらっしゃるのですか?」
「え?ああ、今は船の方で待機していたのですが・・・」
「あ、あそこですね!では・・・ハアアアア・・・!!」


 総督、急に何か溜め始めましたが。地響きと共に台やら地面やらあちこち抉れてるはずなのに、車椅子ごとそのままの位置で静止しているのですが。妙なオーラが出てるのですが。何ですか、あれ。

 民衆の視線を受けながら、その渦の中心人物はフッと動きを止めた。そして、一際オーラが輝いた瞬間、




「ぬぁぬありいぃいぃぃいい、ちょおぉおぉぉぉぉっぷ!!!」




 跳んだ。総督が、跳んだ。見えないはずの目をカッ開き、動かないはずの足で大地をへこましながら。跳んだ。そう、跳んで、飛んで・・・徐々に姿を現しだした氷山と、その上に乗っている?黒い点へと一直線へ。

 ルルーシュがこちらに真っ直ぐ飛んでくるナナリーを目視したこの瞬間、彼の負けは確定した。
 原因は三つ。一つ目は、ナナリーの身体を病弱だと思い込んでいた点。俺が避けて、氷山にでもぶつかったら・・・スザクでも危険だろうに!とルルーシュは顔を青くする。だが、ナナリーは違う。目が見えない?足が動かない?か弱い?いやいや、実際はただの化け物である。ちなみに、枢木スザクも多分かすり傷一つ負わない。恋は盲目ならぬ愛は盲目である。
 二つ目は、ナナリーを溺愛しすぎていた点。しかも先日、自分と選んで憎き相手の手を取られたばかりである。どんなスピードであろうと、どんなに体力がなく貧弱だろうと、向かってくる妹を受け止めないなどいう選択肢を用意できるわけがない。そして三つ目は・・・言わずもがな。テンパっていた。



「ほあああああああ!!!」



 結果、あの世紀のテロリストは、素っ頓狂な悲鳴をあげながら彼女の攻撃を直撃するはめになったのだった。よりにもよって、最悪の宿敵から大嫌いな同情をもらいながら。



 問題は、その後だった。


 ピシっ


 そのままの体制のまま、何故か空中で静止していたナナリーの服についていたピンマイクが、ナナリーの手・・・というか、ゼロの頭から小さな音を拾った。
 その音はピシピシピシっと次第に大きく、間隔が縮まっていき・・・



 パリーンッ



 割れた。

 何がだって?決まっている。 ゼ ロ の 仮 面 だ 。




「お、お兄様!?」




 カラリと落ちた仮面が元々存在していた場所にあったのは、流石のナナリーも予想だにしていなかった、彼女の母親と瓜二つの麗しき容貌だった。






「お兄様・・・?」
「まさか、ゼロは皇族・・・?」
「そんな馬鹿な!」


 ザワザワと、先程の比ではない動揺が走る。
 ある者はただ困惑し、ある者は彼を罵り、ある者は驚愕に目を開き、またある者は納得する。


「ルルゥウゥゥシュ!そうやって君はまた、人を騙して、傷つけて!!」

 彼の正体を確信していた枢木スザクは、いち早く復活して彼を糾弾した。


「そうか・・・彼がゼロか。」

 そう一人頷くのは奇跡の男。


「ルルーシュ・・・」

 ちょっと、これやばくない?と紅蓮の騎士は冷や汗を垂らす。


「まさか、あのアリエスの・・・!」
「ルルーシュ様・・・生きていらっしゃったのですね!!」
「ああ、相変わらずマリアンヌ様そっくりですね!お美しい・・・!」
「日本でのヴィ家の扱いは相当酷かったと聞き及んでいますが・・・それでもイレブンのために立ち上がるなんて、流石です!」

 そう感動している連中は、すべからくブリタニア軍人たちである。


 あれ、と民衆は思った。そう、ナナリー総督の兄といえば、彼女いわく妖精さんで、日本人から虐げられても日本を好きでいた聖人君子ではなかったか。それが、ゼロ・・・中継を見ていた人々の中で、どちらのイメージも変わった。



 だって!あのファッションセンスが壊滅的で、無駄なまでに悪役笑いなのに正義の味方とか言っちゃう痛い子で、秘密主義者のくせに派手好きで、屁理屈とブラフが大好きで、妙ちくりんなポーズを取りまくる変態仮面のテロリストが、妖精で聖人君子!?ありえない!!



 いや、実際にあり得てるからここにいるわけだが。影武者の可能性は、ゼロを捕らえた枢木スザク本人の言葉で否定されているわけだし。


 どうして軍人たちが揃って喜んでいるのか。そして、何故彼に刃を向けていたことを後悔しているのか。その答えは、『閃光のマリアンヌ』という言葉一つで事足りる。

 というより、ルルーシュはマリアンヌ以上の常識人かつ癒しとしてある意味崇拝されていた。
 あの強くお美しいながら破天荒で誰も手をつけられないマリアンヌ様と、賢く王者の威厳を誰よりも持っているけども如何せんただのおちゃめな横巻きメタボロールな皇帝陛下。その二人の良いところ(ただし体力と運動面は全て妹君に持ってかれてしまったようだが)と純粋でお優しい心を併せ持つルルーシュ様が、人気が出ないわけがないだろう!とはあるオレンジの言葉だ。はっ庶民出?そんなもの、実力主義の世界では問題ではない。




 そして、このざわめきの中、当の本人はというと、


「・・・・・・な、ナナリー・・・ぐふっ」


 完全に死に掛けていた。

 では誰がこのカオスな戦場を納めるのか?いわずもがな、件の彼女である。



「お黙りなさいな。せっかく久しぶりにお兄様分を補充しているというのに。醜い顔をこちらに向けないでください。お兄様が穢れます。今、お兄様の吐息をかき消してまで話をする者がいたら・・・私、またナナリーチョップをかましちゃうかも・・・」



 その瞬間、会場は凍った。
 声は哂っているのに、顔が全くの無表情なのですが。というか、これ以上ナナリーチョップはやめてください死人が出ます。・・・どうやらもう、みんなツッコミにも疲れてきているようだ。
 だって、何を言っても彼女は我が道を行くに違いない。立ちふさがるものは、みんなナナリーチョップでなぎ倒して。



 ・・・取り敢えず、この妹につかまってしまったゼロには、ご愁傷様、と言っておこう。



 くったりと儚げに気を失っているゼロを男顔負けにお姫様抱っこをしながら、あの人外スザクをボコしている総督を見て、みんなの心は一つになった。





 彼らは、知らない。彼女以上のシスコンがいることを。その彼こそがゼロなことを。





 乾いた笑いで埋め尽くされた会場に、リコーダーの音が響く。





『総督ー♪ 総督ー♪
 ナナリー 総督ー♪

 悪いヤツには ナナリーチョップ
 老後の安心 ナナリー年金

 あーあーー♪
 ナナナナ ナナーリィー♪
 ナナリー総督ー♪』






ナナリーチョップ!!
―悪いヤツにはすべからく―






――R2のDVD特典ネタ。最凶ナナリーと愛されルルーシュでした。
 えっ「悪ーいヤツには\ナナリーチョップ/」ってこういうことじゃないんですか?←

 ちなみにこの後、ルルーシュはエリア11の新副総督として皇族復帰。ゼロとしての人脈を生かしながら日本を立て直したという設定があります。
 いや、ナナリーが「お兄様に手伝わせるとまたどこかへ行ってしまいますから」と政庁へ軟禁。仕事もできず、かといってナナリーの意志に逆らうこともできず、ウズウズと機会を窺うルルーシュさんと心を読んで先に対応するナナリーというのもありだとは思うのですが・・・収集がつかねえよ!!

 ナナリーダイアリーと品は公式が病気すぎてヤバイ。好き。主にパシューンとせんべいの音とスザクの顔とC.C.の気の抜けたわーいが。
 品ネタもそのうち書きたいです。あと今度の土曜日はゼロレク当日ですが、HPやブログのデザイン変える以外に何しようかな、と考え中。絵を描く時間はないし、小説は・・・最終回を見てない私が書いていいものでもないしなあ。せめて最終回後の話か?むむむ。

 ・・・取り敢えず、映画行く前に書き終わってよかったですw危うく永久お蔵入りするところでしたw

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