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23 April

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03 May

死神の悪夢【一人用】 その2

 CoCシナリオ『死神の悪夢』の続きです。
最初から読む方はこちらへどうぞ
複数人用はこちらからどうぞ





10. Select
 死神の悪夢駅のホームには、エスカレーターと反対側に服屋が併設されている。
 ガラス張りの壁からは店内の様子がよく見える。扉もガラスで、ボタンを押すと両脇に避けるタイプの物。上部に書かれた店名は「Select」。
 老若男女を問わない洋服屋で、明るく人の良い三人の女性が働いている。店内には所せましと服が並んでおり、上から下りてくるエスカレーターと、人ひとり入るのが精一杯な程度のレジ、試着室が1つある。レジにはレジスターとボールペン、お金を置く滑り止めがあり、中に若い女性がいる。他の二人の女性は服を並べたり、接客を担当している。
 並んでいる服はどれも上下セットで陳列されている。つなぎやワンピースなど、上下が一体化している服も多いようだ。店員に聞くと、上下セットでしか販売していないと言われる。

 探索者が服を見ていると、店員に話しかけられる。あれやこれやと言いレジの前側に並んでいる服を勧めるが、最終的に探索者が選んだものを素直に会計してくれる。
 金額は一律で六文である。お金を探そうとすれば、自分の手に六文銭が握られていることに気がつくだろう。
 服を購入した場合、店員が試着室で着替えていくことを勧めてくる。
 試着室はカーテンで仕切るタイプで、中には鏡とハンガー用のフックがある。
 服が変化する前に鏡をよく見た場合<POW×5>を振る。成功すれば本来の服を着た自分が映っているだろう。ただし、自分の身体を見下ろしても服は変化しておらず、カーテンを開けて試着室の外の服を映しても何も変わらない。


 ホームから店内へ入ってもごく普通の服屋だが、エスカレーターの上側から店を見たり、エスカレーターから下りると、店内に並んでいるのは黒い喪服と白装束である。店頭に出ているのは真っ黒なローブだ。
 店員の服は青い駅員服に変わり、自分や大切な人の服を見ると、普段着だったのが白装束になっている。(狂信者など、よほど悪さをした探索者なら黒いローブでもいいだろう。)
 なお、喪服はレジの脇、白装束はレジの正面の棚、ローブは店頭に並んでいる。

 一度エスカレーターから下りると、店外に出ても陳列されている服が黒い喪服と白装束、黒いローブに見える。
 そしてホームや電車を見ると、人々の服が白装束や黒い喪服、黒いローブに変わっている。
 白装束を着た人はほとんどが上り電車に乗っている。黒いローブを着た人は次々に下り電車に乗り込んでいる。
 黒い喪服を来た人は、エスカレーターを上がったり、エスカレーターの裏側を進んでいる。



11. 売店
 エスカレーターの脇を抜けてホームの奥へ行くと、売店がある。
 売店には黒いローブを着た女性おり、欲しい物を売ってくれる。
 ただし、他の人の服が白装束などに変化した後の場合、彼女の服は青い駅員服に変わる。

 売店の脇には張り紙が貼ってある。
「販売品
 おにぎり
 水
 緑茶
 線香
 提灯
 ライター
 紙
 鉛筆
 ボールペン」

 この店は生者専用である。
 喪服以外で店員に声をかけると、彼女は「貴方は電車に乗ってくださいな。ここは喪服の方専用です」と答える。
 喪服を着ている人がいないことを言うと、彼女はにっこりと笑って、服屋「Select」に行くことを薦める。

 喪服を着て彼女に声をかければ、貴方が用件を言う前に「お代はいりませんよ。もういただいていますから。お好きなだけどうぞ」と言う。
 好きな物を好きなだけ買っていくことができるが、ここで販売している食事は死者へのお供え物なので、おにぎりや水、お茶を口にした人がいた場合、その人とデパートの中に入ることはできなくなる。
 なお、提灯を買うとライターのみならず、紙とペンも忘れていないか確認してくる。



12. エスカレーターの上
 エスカレーターを上がると、そこは一見改札口のようだが、改札口の代わりにデパートへの入口がある。店内は暗く、入口は自動ドアだが固く閉ざされており、開けることはできない。
 他のお店も全てシャッターが下りている。たとえ攻撃したとしても開けることはできない。もしも何とかして開けた場合、そこは倉庫になっており、提灯や紙やペン、護符(呪文「魂の罠」用)が手に入る。他にも探索者が念じた物がここにあるかもしれない。
 デパートはガラス張りで中がよく見えるが、貴方はその中に見知った物を見つけるだろう。貴方や大切な人が大切にしていた物である。それらは商品のように他の物と一緒に陳列されている。なお、並べられている物に一貫性はない。

 喪服以外を着ている場合、不思議なことにエレベーターの上に上がって行ったはずの人々の姿がない。
 喪服を着てエスカレーターを上ると、デパートの中が明るくなり、自動ドアが開くようになる。喪服を着た人々は皆火のついた提灯と紙とペンを手にデパートの中に入っていくが、少し立つと姿が消えていく。この状態ならばデパートの中に入ることが可能である。

 ただし、こちらの世界で駅員が出した茶菓子以外を飲み食いをしてしまった者は、デパートの中に入ろうとしても透明な壁に阻まれて叶わない。
 しばらくそこに留まっていた場合、駅員が心配して様子を見に来るだろう。駅員は、デパートは喪服専用なこと、こちらの食事をしてしまった人はそこから帰れないことを伝え、服屋で白装束を渡す。
 もしも帰ることを強く願った場合、駅員は「願いを叶えていただければ、特別に現世へ戻しましょう。こちらでお話します」と図書館に連れていき、16. 死神の願い にあるような頼みごとをする。聞き入れた場合、図書館から湖に行く道を開いてくれる。
 もしも死神が頼みごとをしなかったとしても、下り電車で湖に行くこともできる。また、頼みごとをされても、グラーキを追い出さずに湖から現世へ帰ることは可能である。


 改札口の脇には細長い一直線の通路があり、横に図書館がある。図書館は一フロアのみで、出入口は通路の始まりと終わりのあたりにある。通路の窓から図書館の中が見えるが、中に人はいない。
 図書館の扉には最初、「現在 駅員は駅員室にいます」という張り紙があり、鍵が掛かっている。

 通路の突当りには、上へ行き来する短いエスカレーターがあり、その先は踊り場のようになっている。
 踊り場からは服屋「Select」に続く下りエスカレーターと、上の階へ続く階段がある。
 上り階段は短く、正面に「駅員室」と書かれた扉がある。

 駅員室の扉には鍵が掛かっている。ノックしたりドアノブを回すと、「はい、ただいま!」と言う声と共に人のよさそうな駅員が顔を覗かせる。
 駅員は青い駅員服を着た若い男性の姿をしているが、その正体は青いローブの死神である。
 駅員は貴方が話しかける前に、「図書館をご利用ですか?道に迷いましたか?」と声をかけてくる。
 道を尋ねた場合、駅員は探索者の着ている服が白装束なら白い電車に、黒いローブなら黒い電車に乗るように促す。
 喪服を着ている場合や、図書館に入りたいと言えば、図書館へ案内してくれる。
 駅員のステータスは21. NPC にて示す。



13. 図書館
 駅員に鍵を使って扉を開けてもらえば、図書館への出入りが自由にできるようになる。
 図書館は大きいわけではないが厚い本が並んでいるため、図書館ロールにはある程度時間がかかる。
 駅員に探してもらったり、図書館ロールに成功すれば、お目当ての本が見つかる。

 駅員は図書館に入ると、「ご自由にどうぞ。何かお探しの物があればお手伝いします」とカウンターに立つ。
 借りたい本がある場合、彼に声をかければ自由に持ち出すことができる。何も言わず持ちだそうとすると、気がついた時には手から本がなくなっており、元の場所に戻されている。

 もしも探索者が喪服を着ている場合や、死者に会いたいと言えば、駅員は「どなたに会いに来られましたか?」と訊ねる。探索者が死者の名を答えると、その人の名が書かれたリストを持って来て「この方で合っていますか?」と確認を取る。
 肯定すると、準備をするので暫くここで待つように言い、駅員は図書館から出ていくが、暫くすると戻ってくる。以降の流れは14. 死者との再会 にて詳しく説明する。


 図書館全体に<目星>をすると、壁に張り紙があることが分かる。
 張り紙には以下の内容が書かれている。
「死者との会い方
  1. カウンターに会いたい人の名前をお伝えください
  2. 駅員が会いたい人を呼びますので、少々お待ちください
  3. 準備が整いましたら、駅員の指示に従い死者の湖まで向かいます
  4. 終わったら駅員の指示に従って速やかに図書館まで戻ります
 ※ 湖に無断で立ち入った場合、安全は保障できません」


 調べたいものを指定せずに<図書館>をする場合、成功失敗に関わらず、並んでいるものの多くは何らかのリストだと分かる。
 リストの表紙と背表紙には日付が書かれており、中には秒単位の時間と沢山の名前が並んでいる。中には偉人の名も数多く見受けられる。また、名前のほとんどにはチェックが、一部には丸がついており、何もマークが書かれていないものもある。最近の日付に近いものほどマークが書かれていない人が増えている。これは天国か地獄に辿りついた者にはチェックを、生き返った者には○をつけている。まだ死神の悪夢の中にいる者はまだ未定なため、何も書かれていない。
 それらのリストの中に、自分と大切な人の名前が並んでいる物を見つける。
 探索者の名前には何もマークがついていないが、大切な人や篠原哀の名前には現在の状況に合わせてマークをつけてある。電車に乗っていればチェックがついているし、探索者と行動を共にしていれば何もない。
 時刻は最後に記憶している時間よりも後であり、現在時刻よりも前である。
 駅員に今日の日付を尋ねれば、リストに書かれた日付と一致している。
 <アイデアロール>に成功すれば、これらは死者のリストであると確信するだろう。そしてマークがついている者は既に死んでいるのではないかと考える。
 マークについて駅員に訊ねれば、自分が呼び出せるのはチェックマークがついている方だけだと答えるだろう。

 <図書館>成功の場合、『死者の湖に関する調査報告書』というファイルが少し飛び出ていることに気がつく。こちらについては、本棚に<目星>をした場合と同様である。


 「死神の悪夢」について調べれば、戯曲の『死神の悪夢』を見つける。
 戯曲『死神の悪夢』の内容を要約すると以下の通りである。
「死神の悪夢は死期が近づいた人の中でも、生きる希望を持つ人間が見る夢である。
 夢を見た人次第で、天国に行くことも地獄に行くことも、生き永らえることもできるという。
 主人公は難病にかかった少年で、もう長くないといわれている。遠くなる意識の中、彼は一人駅のホームに立つ夢を見る。その夢の中で少年は健康であり、久々に走り回れることに感動し、人と話すことを楽しむ。
 彼は親しくなった人と共に上り電車に乗るが、必死に看病してくれていた両親の顔や名前、思い出、知識、好きだったことを忘れていき、慌てて一人電車を下りる。今度は上り電車に乗るが、今度は体がどんどん衰え、立つこともままならず、頭が朦朧としてくる。
 慌てて元いた駅に戻るが、なくなった記憶とボロボロになった体に少年は生きる気力を失っていた。少年の前に現れた青いローブの死神に、少年は死を請う。そんな彼に温情深い死神は、最後の確認をする。
 「貴方は病気で苦しみ、常に死を願っていました。そんな貴方に夢の中だけでも健康な体を与えたのは、最後の道くらい自分で選ばせてあげようと思ったまでのこと。しかし貴方は、天に昇ることも、地の底に落ちることも拒否しました。では何故今頃消滅を望むのでしょう。矛盾していますよ。貴方の望みは何でしょう。本当に私が終わらせていいのですか?」
 少年は葛藤するが、最後には青いローブの死神に導かれ、現世へと戻っていく。
 目を覚ますと少年は病院におり、大切な両親に抱きしめられている。少年は一度心臓が止まったのに、奇跡の生還を遂げたらしい。
 その後、少年は病気と闘い続けながら、家族と幸せに過ごしたという。」
 ちなみに、この本の著者は少年本人である。少年は天寿を全うした後、形見としてこちらの世界にあったこの本を感謝の気持ちとして青いローブの死神に贈った。
 駅員に詳しくこの本の話を聞けば、実際にここに来た少年が書いたもので、再度訪れた時に寄贈したことを教えてくれる。自分が青いローブの死神とは言わないが、少年のことを懐かしむように話すだろう。


 服について調べれば、『服装規定』という冊子を見つける。内容は以下の通りである。
「死神の悪夢では、生者か死者か職員か、天国行きか地獄行きかを見分けるために、既定の服を着る。
 ただし地獄行きの者が暴れないように、一見これらの服と分からないように細工をしてある。
 自分の行き先を変えたい者のために、駅員室側から服屋に入ると本来の服が見えるようにした。
 自分の意思で行動できる者ならば、地獄行きだと判明しても問題は起こさないと青いローブの死神が判断したためである。
 既定の服は以下の通りである。

 死者に会いに来た生者 … 喪服
 天国行きの死者    … 白装束
 地獄行きの死者    … 黒いローブ
 死神         … 青い駅員服にローブ」


 駅員に「湖」について調べたいと言うと、駅員は死者の湖に関して教えてくれる。
 具体的には、死者の湖はDEX駅にあること、死者と生者を繋ぐ神聖な場所であること、死者を呼び出す力があること、今は駅員が儀式をしなければ死者を呼び出すことができないことを教えてくれる。
 儀式について詳しく聞いた場合、実際にやってみせるため、呼び出したい死者を教えてほしいと言う。呼び出す者が思いつかないようであれば、リストのチェックマークがついている者から選んでほしいと言葉を付け加える。死者の名を伝えるとやはり駅員は退出し、以後は14. 死者との再会 の通りである。
 何故呼び出せないのかを聞いた場合、他の湖と水が混じり合ってしまっていること、現世の化け物が住み着いたこと、亡者が徒労を組んで生贄の儀式を行っていることを教える。また、対策を練ってはいるが、現状駅員達だけではどうにもならないことをため息まじりに漏らすだろう。
 探索者が協力する意を伝えれば、彼は喜んで16. 死神の願い にあるようなお願いをする。


 本棚に<目星>をしたり、「湖」について<図書館>をした場合、『死者の湖に関する調査報告書』というファイルが飛び出ていることに気がつく。
 そのファイルを抜き取ると、奥にボタンがある。

 ボタンを押すと、本棚がひとりでに動き、鍵の掛かった鉄の扉が現れる。
 扉は重く力技では開けられないが、鍵開けに成功すれば開けることができる。
 しかし、駅員が図書館にいる場合、「死者と会うのでしたらお名前を教えてください」「一人で行くのは危険ですよ」と引き止める。それでも引き下がらない場合、自分も同行することを条件に鍵を開けてくれる。
 扉の先は真っ暗闇だが、グラーキの潜む死者の湖に繋がっている。
 扉の裏側には、以下のような貼り紙がある。
「死者の湖への直通通路
 空間の狭間を通るため、
 必ず境界を越える道具を持つこと」
 もしも駅員がいた場合は14. 死者との再会 のように駅員が手を引いてくれるが、探索者達のみの場合、下り電車に乗らずに湖に行くには火が灯った提灯を持っていなければならない。提灯は境界を越える力がある。
 提灯は念じて出現させたとしても、火を灯すことはできない。夢の中に出てくるのはあくまで夢の中のものであり、境界を越える力はないのだ。
 火を灯すことができる提灯は売店で購入することができる。
 駅員を振り切る場合はDEX24とのDEX対抗になる。成功すれば駅員は諦めて図書館に残り、DEX駅の駅員に見守っておくよう連絡を入れてくれる。湖で何かあった場合、DEX駅の駅員がすぐに駆けつけてくれるだろう。
 死者の湖の詳細は17. 湖 に書く。

 『死者の湖に関する調査報告書』は、DEX駅にある死者の湖についての調査の途中経過を報告したものである。内容は以下の通りだ。
「DEX駅にある死者の湖は、死者と生者を引き会わせる神聖な地であったが、死者を直接呼び出すことができなくなったため、我々は湖に異常がないか調査を開始した。
 調査した結果、死者の湖は現世と繋がり、水が混じりあっているようだ。結果湖の力が弱まり、死者を呼び出せなくなっている模様。
 現在、湖には地獄行きの亡者が集まり、徒労を組んで自らを串刺しにする儀式を行っているようである。これらは現世のイギリス、セヴァン谷周辺で行われていたものと一致する。そのため、死者の湖はセヴァン湖に繋がっていると考えられる。
 湖の底には甲羅にトゲを生やしたような巨大生物がおり、近寄る者を襲っている。目は3つあり、視界は良好。湖から出てくる様子はない。伸縮自在なトゲには毒性があり、それにより亡者を操っている。
 原因は不明だが、謎の術式が発見されており、関連性が考えられる。
 DEX駅にて、今後も調査を継続する。」


 「境界」か「タグ=クラトゥアの逆角度」について調べた場合、「異世界との境界」という本を見つける。内容は以下の通りである。
 なお、この情報は「境界」に関して検索しても出てくる。
「異世界間には通常越えられない境界があるが、境界を越える手段は存在する。
 赤い提灯の灯火から、タグ=クラトゥアの逆角度のような術式まで様々である。
 タグ=クラトゥアの逆角度は高度に数学的な呪文であり、詳しいことは分かっていないが、異世界とこちらの世界を繋ぐ門に関する呪文といわれている。
 境界は真の闇や霧、峠などに現れやすい。」



14. 死者との再会
 駅員が戻ってくると、彼は「準備が整いました」と言い、本棚から一冊の本(「死者の湖に関する調査報告書」)を抜き取る。彼が奥のボタンを押すと本棚がひとりでに動き、重そうな鉄の扉が現れる。駅員は鍵を開けると、「どうぞこちらへ」と探索者を促す。
 扉の奥は図書館の光を呑み込んでいるかのように真っ暗で、先を見ることはできない。駅員は探索者の手を取り、何があっても離さないように言って扉の先を進んでいく。同行者がいる場合、探索者と手を繋いで離さないように言う。
 道は長いが、道のりの半分ほど行くと先に光が見えてくる。出口の先はDEX駅にある死者の湖である。
 探索者が駅員の手を振りほどく場合、STR同士の対抗になる。駅員のSTRは24なので、14以下は自動失敗である。
 もしも火が灯った提灯を持たずに駅員の手を振りほどいた場合、探索者は気がつくと下り電車の中にいるだろう。道のりの半分まで行っていなければならばAPP駅の近く、後半に差し掛かっていればDEX駅につく頃である。DEX駅では青い駅員服を着た女性が待っており、「駅員の警告は聞いたほうがいい」と忠告してくれる。湖までは彼女が連れていってくれるだろう。


 湖に着くと、駅員は周囲を確認し、湖に足を踏み入れると「では、これから死者を呼び出します」と一言断りを入れてから姿を変える。青いローブの死神の姿を初めて見た者は0/1d6のSANチェック。
 もしも発狂したとしても、すぐに死神が<精神分析>をしてくれる。
 死神は湖に足を踏み入れないよう探索者に念を押し、手にしていた護符を水につけて呪文を唱える。すると、湖から貴方が会いたいと頼んだ死者が現れる。その人は貴方と会えたことを喜び、ひとときの会話を楽しむだろう。
 その人は他の者と同じように実体を持っており、能力値も生前と同じになる。また、地獄に行っていたとしても見た目は変わらず、記憶も失っていない。
 ただし、グラーキの従者にされてしまっていた者はしきりに湖を気にし、湖に貴方を誘い込もうとする。もしも誘導されて湖に足を踏み入れようとした場合死神が止める。それでも湖に入ろうとするようならば、死神は死者の姿を消してしまう。


 しばらくすると、死神は「そろそろよろしいですか?」と貴方達を急かす。そして「急ぎましょう。ここは危険です」とすぐに来た道を戻ろうとする。
 この時、死者は湖の中に溶けるように消えてしまう。
 RP次第だが、もしも死者が生き返ることを望んだ場合、死神はそのまま探索者と行動を共にすることを許可する。ただし、死体の状態次第では長くはないことも伝える。なお、大切な人や篠原哀は問題なく生き返る。大切な人は手術を受けており、篠原は首を吊ったため死体は綺麗に残っているのだ。
 探索者が死神に何を慌てているのか聞けば、彼はここに現世の化け物が住みついてしまったこと、亡者が徒労を組み化け物に生贄を捧げていることを教えてくれる。
「本当はすぐにでも退治したいのですが、私どもでは力が及ばないのです。この世界から追い出す呪文は見つけたものの、こちらも私だけではどうにもならず……お帰りはどうかデパートからお願いします。喪服と紙とペン、火のついた提灯をお忘れにならないようお気をつけください」
 この時探索者が化け物に関して食いついたり、死体の状態が芳しくない死者が生き返ることを希望した場合、死神は湖に住みついた化け物を一緒に追い出してほしいと頼む。「もしよろしければお手伝い願えますか?現世へはお帰ししますし、お礼もさせていただきます」
 拒否したり何も言わなければ、死神は再び探索者の手を引いて図書館へ戻り、「ありがとうございました。またいつかよろしくお願いいたします」と頭を下げて見送ってくれる。
 死神の言う通り提灯と紙とペンを用意し、喪服を着てデパートの中へ進むか、湖に戻って脱出するかは探索者次第である。
 お願いを聞いた場合も、一度図書館に戻って作戦を立てる。



15. デパート
 デパートの中を無事に進むには、喪服を着て、提灯を手に持ち、紙とペン(鉛筆でもボールペンでも可能)を持っていかなければならない。
 これらのことは、デパートに入っていく人の姿や、売店の店員や死神の話から分かる。
 喪服は服屋「Select」で、提灯と紙とペンは売店で買うことができる。他の方法で用意した場合、道に迷うことになる。
 紙とペンは1つずつあればいい。提灯は人数分持つべきだが、もしなければ提灯の光の輪に入るか、提灯を持っている人と手を繋いでいる必要がある。手を離した状態で光の輪から出れば、他の人から自分が見えなくなり、暗闇に一人取り残されることになる。


 明るくなったデパートの中は、ごくごく一般的なデパートである。様々な店が並んでおり、明るい通路がいくつも続いている。
 店の前には1人ずつ青い駅員服を着た店員がおり、通る人に話しかけ、何か物を渡している。
 少し店を見て回ると、値札に値段ではなく名前が書いてあることに気がつく。持ち主の名前である。
 探索者が周囲を見渡していると、入口近くにいた店員が探索者に声をかけ、「お探しの物はこちらですか?どうぞお持ちください」と貴方や大切な人の名札がついた大切な物を渡してくれる。また、篠原哀を助けた場合や、他の同行者がいる場合、彼女達の形見も一緒に渡される。
 これらの形見は現世に戻っても消えないので、アーティファクトとして所持しても構わない。これらのアーティファクトの効果は、幸運ロールの成功率に5%を追加する。対抗ロールの場合には使用できない。

 店員は服装と持ち物を確認すると「お帰りはあちらからどうぞ。指示には必ず従ってください。暗くなりますので、足もとにご注意くださいね」と奥を示す。
 もしも提灯を持っていない人がいれば、提灯を持っている人と手を繋ぎ、絶対に離さないように助言する。


 デパートの通路を奥へ進んでいくと、明かりはついているはずなのに徐々に周囲が暗くなっていく。この時ハッキリ見えるのは提灯の光の輪の中だけである。デパート内の音は聞こえるが、だんだん遠ざかっていく感覚がある。周囲に点々と光の輪があるが、どうやらそれも提灯の灯りのようだ。
 完全に暗闇に包まれると、すぐ近くの人も提灯の光の輪に入っていないとどこにいるのか分からなくなる。ただし、売店で購入した紙とペンは光を発しており、離れていてもどこにあるか分かる。
 すると、紙とペンが空中に浮き、紙に「→」と右矢印が書かれる。探索者が指示通り進んでいると、しばらくして文字が消え、代わりに「↑」と書かれる。
 その後も「←」「↓」「→」「↑」とどんどん進んでいく。

 もしも指示に従わなかったり、提灯を持っている人に置いていかれてしまった場合、その人は突然落ちるような感覚に呑まれ、気がつくと上り電車内におり、居場所駅に停車している。
 探索者以外が上り電車に放り出されてしまった場合、彼らは混乱し終点まで行ってしまう。
 しかし、しばらくは居場所駅のホームにいるため、探索者がわざと彼らと合流すれば助かる可能性はある。

 そのうち前方に光が見えると、紙に「お疲れ様でした。またいつか会える日まで」と書かれ、光の方へと飛んでいく。探索者達が光の中へ飛び込むと、視界が真っ白になり、そのまま貴方達は意識を失うだろう。
 その後は19. エンディング に突入する。
 大切な人が生きていればトゥルーエンド、そうでなければノーマルエンドになる。


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